
1995年に放送されたTVアニメ『新機動戦記ガンダムW』は、美男美女揃いのキャラクター構成と、「戦争」と「平和」をめぐる人間ドラマやインパクトのあるセリフの数々、キャラクターの個性に紐づいたモビルスーツデザインで、絶大な人気を博したガンダム作品だ。
その後日譚として描かれた『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』は、地球圏統一国家の平和を揺るがす軍事クーデターと、ガンダムパイロットによる「真のオペレーションメテオ」の阻止を描き高い評価を得た。
2025年、アニメ『新機動戦記ガンダムW』が30周年アニバーサリーを迎え、9月5日からは『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』がシリーズ初のDolby Cinema®版で上映され(※2週間限定)、大きな注目を集めている。
この記事では『Endless Waltz 特別篇』について紹介するとともに、『新機動戦記ガンダムW』魅力や初心者でも楽しめるポイントを徹底解説する。
『新機動戦記ガンダムW』は平成ガンダムを代表する人気作品!
ガンダムシリーズは、アニメ第1作目の『機動戦士ガンダム』とその続編や派生作品のことを表す「宇宙世紀シリーズ」と、それ以外の世界を舞台とする「オルタナティブシリーズ」に大きく分類される。
『新機動戦記ガンダムW』はオルタナティブシリーズの『平成ガンダム』の中でも特に女性人気が高い作品で、ガンダム情報の公式サイト内のコンテンツガンダム国税調査の『新機動戦記ガンダムW』はオルタナティブシリーズの『平成ガンダム』の中でも特に女性人気が高い作品で、ガンダム情報の公式サイト内のコンテンツガンダム国税調査の「Q.平成初期に放送された思い出のガンダム(宇宙世紀以外)は?」や「Q.2025年、楽しみなガンダムトピックスは?」でも1位を獲得!
特に「Q.2025年、楽しみなガンダムトピックスは?」の2位がスタジオカラー×サンライズで話題となったガンダムシリーズの最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』だったことを考えると、いかにガンダムWの人気が高いかが伺える。
『新機動戦記ガンダムW』観るならココをチェック!初心者にも楽しめるポイント5選!
『新機動戦記ガンダムW』を観る上で注目すべきポイントは以下の5つ。ここからは、そのポイントについて解説していきたい。
- 主人公が全員美少年!設定やカップリングも話題となった“女性人気No.1ガンダム”
- 声優キャストが圧倒的に豪華!
- ドラマチックなストーリーと、名言・迷言の宝庫!
- キャラ設定に合わせたモビルスーツデザインが個性的で斬新
- 『機動戦士ガンダム』や「宇宙世紀」シリーズを知らなくても楽しめる1作!
ポイント.1:主人公が全員美少年!カップリングも話題となった“女性人気No.1ガンダム”

ガンダムWを語る上で欠かせないのが、主人公が5人いること。そして、5人それぞれが違う系統のルックスとバックグラウンドを持った美少年だということだ。
2007年にメモリアル-DVD BOX発売当時実施されたプロデューサーの富岡氏とシリーズ構成の隅沢氏のインタビューによれば、本作を作る初期設定の時点で、5体のガンダムが出てくることは決まっていたという。これは、前年放映の『機動武闘伝Gガンダム』で、主人公グループが5人だったという流れを受け継いだもの。この作品のプラモデルの売り上げが良かったため、後継番組である『ガンダムW』でも同じ結果が求められたためだったという。ちなみに最初にデザインが決まったのは5体のうち、シェンロンガンダムとガンダムヘビーアームズ。主役機であるウイングガンダムの設定が固まったのは最後の方だったという。
この5体のガンダムや、キャラクターを5カ国に分けるという設定(※日本、西洋、中東、アメリカ、中国)に合わせて、原案をTVシリーズ当初の制作監督の池田成が作成し、キャラクターデザインを村瀬修功が担当したという。
- ヒイロ・ユイ(日本) :クールな天才型主人公。細くて華奢で、中性的な身体のラインを持つ。モデルは女優の内田有紀
- デュオ・マックスウェル(アメリカ):未熟者で物語の中で成長していく、従来のガンダム的な主人公像。搭乗機が“死神”というコンセプトだったため、当初の設定では根が暗い性格となっていた
- カトル・ラバーバ・ウィナー(中東):アラブの王様(というより王子?)
- トロワ・バートン(西洋) :ティム・バートン。どことなく悲しい無表情
- 張五飛(中国) :正義と悪を感じとれるNT(ニュータイプ)。企画当初はNT能力を持つアフリカ人設定だったが、Gガンダムと同じ中国人設定に変更された

当初ウイングガンダムのコンセプトは「撃ち落とされるガンダム」だったんだって!
その後「変形して空を飛ぶ」案がバンダイ側から提示されて、今のウイングガンダムが誕生したんだ。
5人は、「オペレーション・メテオ」と呼ばれるガンダムによる地球降下作戦で、当初はそれぞれ別の場所に降り立ち単独で戦うが、地球圏統一連合軍、OZとの戦いの中で自分以外にもガンダムパイロットがいることに気づき、状況や作戦に応じて行動を共にするようになっていく。
ある時はヒイロとデュオ、トロワとカトルが行動を共にし、またある時はトロワとヒイロや五飛など。エピソードごとにパイロットたちが様々な組み合わせでバディを組むのも、従来のガンダムにはなかった要素の1つと言えるだろう。さらに、TVシリーズ終盤では5人でチームを組んで、モビルドール部隊を殲滅させるなどストーリーが進むにつれ5人の関係が深まっていくのも見どころだ。
特にトロワとカトルは、作中一緒に楽器を演奏し、ヒイロはカトルと完全平和主義を唱えるサンクキングダムで学生生活を満喫するシーンも。こうした美少年同士の絡みを盛り込んだことも、硬派なイメージが強かったそれまでのガンダムシリーズと異なり、大きく話題になった。
モビルスーツや戦闘シーンのかっこよさだけではなく、5人それぞれのキャラクター性や、パイロット同士の絆ストーリーなどが、ライト層や女性などにも支持を得た要因と言えるのではないだろうか?
ポイント.2:声優キャストが圧倒的に豪華!
『新機動戦記ガンダムW』の大きな魅力の1つに、声優陣の豪華さが挙げられる。まず5人のガンダムパイロットを演じた声優陣の代表作は以下の通り。
- 緑川光(ヒイロ・ユイ) :「SLAM DUNK」流川楓、「ドラゴンボール」天津飯
- 関俊彦(デュオ・マックスウェル) :「鬼滅の刃」鬼舞辻無惨、「忍たま乱太郎」土井半助
- 中原茂(トロワ・バートン) :「ドラゴンボール超」 人造人間17号、「幽☆遊☆白書」妖狐蔵馬、「ビバリーヒルズ高校白書」や「X-MEN」ほか海外作品の吹き替え
- 折笠愛(カトル・ラバーバ・ウィナー):「ロミオの青い空」ロミオ、「天地無用!」シリーズの 魎呼役、映画「ホーム・アローン」 など洋画吹き替え
- 石野竜三(張五飛役) :「戦国BASARA」長曾我部元親、「デュエル・マスターズ ビクトリー」ぶっちゃけ
上記5人に加えて、ヒロインのリリーナ・ドーリアン役に『クレヨンしんちゃん』の野原しんのすけ(初代)役で知られる矢島晶子、ゼクス・マーキス役には子安武人、トレーズ・クシュリナーダ役には『地獄先生ぬ~べ~』の鵺野鳴介役や、TVアニメ「SLAM DUNK」の三井寿役などで有名な置鮎龍太郎も起用している。知っている作品がないか調べてみたり、他の出演作をチェックしてみるのも面白いだろう。
ポイント.3:「私は敗者になりたい」など、ドラマチックな名言・迷言の宝庫!

「ガンダムW」の魅力を語る上で、その予測不可能なストーリー展開と、各キャラクターたちが放つ名言・迷言の数々は欠かせないだろう。
例えば、第1話「少女が見た流星」では、地球降下作戦中にOZの攻撃輸送船に発見され、1話目にしてウイングガンダムが海に沈められてしまう他、自分の顔をリリーナに見られてしまったヒイロが、駆けつけた救急車を奪って逃走。極めつけはヒイロがリリーナの誕生日パーティーの招待状を破り捨てながら「お前を殺す」と言い放つなど、急展開のオンパレードだ。
この1話のストーリーとセリフだけでもだいぶぶっ飛んでいるが、ヒロインのリリーナも第4話「悪夢のビクトリア」で「ヒイロー、わたくしを殺しにいらっしゃーい」というセリフを言い放っており、けっして負けてはいない。
また、カトルが最終話でヒイロに向けて口にした「宇宙の心は彼だったんですね」や、本作では敵キャラにあたるOZ総帥・トレーズ・クシュリナーダの「私は敗者になりたい」、ゼクス・マーキスの「馬鹿は来る」など、インパクトのある名言(迷言?)には事欠かない。
ここまで紹介してきた通り、『新機動戦記ガンダムW』は1フレーズを聞くだけで、「あのキャラが、あのシーンで言っていたセリフだ!」と分かってしまうほど、ユニークなセリフが多い作品だった。ぜひ『ガンダムW』を視聴する時は、各キャラクターのセリフに注目して視聴してみてはいかがだろうか?

個人的に衝撃だったのは第48話「混迷への出撃」のトレーズの一言!
五飛から「いったいお前のせいで何人死んだと思っているんだ!」と聞かれて、「昨日までの時点で、98822人だ」と言い放ったシーンはびっくりした(@_@)
自分が関わった戦争の死者数や名前を全部記憶するなんて、これぞ究極のエゴイスト兼ナルシスト!
ポイント.4:ガンダムなどのモビルスーツデザインが個性豊かで斬新

本作を語る上で、やはり5体のガンダムのデザインや攻撃スタイルの紹介は欠かせない。
主役機、ウイングガンダムの当初のコンセプトは当初「撃ち落とされるガンダム」だったそうだ。企画時点でのタイトルは「メテオガンダム」で、そこから現在の「変形して空を飛ぶ」ウイングガンダムのコンセプトが出来上がり、白い翼を持つウイングガンダムゼロのような異彩を放つガンダムが完成した。
デュオが乗るデスサイズのコンセプトは「死神」。背部にあるハイパージャマーで相手のレーダーを無力化し、敵に気づかれることなく、死神の鎌のようなビームサイズで敵を一刀両断する。TVアニメ後半に登場するデスサイズヘルやEndless WaltzのデスサイズHでは、まるでコウモリの羽根のようなアクティブクロークを身に纏っており、死神感がアップしたデザインになっている。
カトルが搭乗するサンドロックはパワーと装甲に重点を置いた、砂漠での白兵戦を得意とするガンダムだ。エチオピアの伝統的な両刃の剣「ショーテル」を模したヒートショーテルでの攻撃が特徴で、そのブッピガン(効果音)も話題となった。アニメ後半やEndless Waltzに登場するサンドロック改は、機体のルックス変化は少ないものの従来のパワーに加えて防御力が強化されており、耐熱と増加装甲を兼ねた全身を覆う大型マントが大気圏突入時の機体を摩擦熱から保護する仕様となっている。
TVシリーズで五飛が搭乗するシェンロンガンダムも白兵戦に優れたガンダムだ。伸縮自在の右腕ドラゴンハングとビームグレイブでの接近戦を得意とする。特にドラゴンハングに装備された火力放射器「ドラゴンハングファイアー」は敵モビルスーツを容易に溶かせる火力を持つ。強化・改良されたアルトロンガンダム「アルトロン(二首龍)」の名前の通りドラゴンハングが両手に装備され、さらにパワーアップ。さらにドラゴンハングファイアーも2基から4基となり火力が増している。また、ビームグレイブは両端からビームを発射可能なツイントライデントへと変更された。

ガンダムの中で、TVシリーズ初期と後期・Endless Waltzで、ルックスも機能面も最も変化が大きかった機体は、トロワが搭乗するヘビーアームズではないだろうか?
初登場時ヘビーアームズは白地に、頭部や胸腕部のオレンジと赤の塗装が印象的で重厚感のあるシルエットのガンダムだった。それがヘビーアームズ改になると、グリーンに黄緑のラインが印象的な塗装に様変わりし、機体のシルエットもスマートにブラッシュアップされている。
ヘビーアームズは、バルカン砲にマシンキャノン、ビームガトリング、ホーミーミサイル、マイクロミサイルなど、様々な火器を内蔵する、まさに「歩く火薬庫」とも言うべきガンダムだが、ヘビーアームズ改になると、TVシリーズのメインウエポンだったビームガトリングが2連の「ダブルガトリングガン」となり、両腕への装備が可能に。さらに2門だった胸部のバルカンがヘビーアームズ改では4門に倍増し、フルハッチオープンでの全弾発射時の攻撃力が大幅に増した。
さらにユニークなのは、トロワがサーカス団のピエロであるというキャラの特徴を踏襲し、顔半分にピエロマスクが装着されている点だ。また、Endless Waltz本編では、弾薬をフル装備した状態で、トロワが得意とする伸身3回宙返り1回ひねりを再現できる機動性を見せ、おおいに話題を集めた。
ポイント5:『機動戦士ガンダム』や「宇宙世紀」シリーズを知らなくても楽しめる
現在、『新機動戦記ガンダムW』は女性ファンやライト層にも人気の平成ガンダムを代表する一作として知られている。その人気の背景には、『機動戦士ガンダム』(いわゆる“ファーストガンダム”)など、「宇宙世紀シリーズ」を知らなくても楽しめる「オルタナティブシリーズ」であることが多かれ少なかれ関係していると言えるだろう。
ファーストガンダムは1979年にTV放送された「ガンダム」シリーズの記念すべき一作目で、初回放送時の視聴率こそ振るわなかったが、熱心なファンの声に応えて再放送されると高視聴率を獲得し、以降45年以上にわたり作り続けられている「ガンダム」シリーズの元祖として今なお圧倒的な支持を受けている。
だが、『機動戦士ガンダム』を支持する熱心なファンや、それ以降の続編シリーズに考察民、古参ファンが多くいるからこそ、「宇宙世紀」シリーズがガンダム初心者にとってハードルが高くとっつきにくい作品となっていることは否めない。『新機動戦記ガンダムW』、そしてその続編にあたる『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』は、ガンダム初心者にとって『機動戦士ガンダム』の予習や宇宙世紀シリーズのしがらみなしで楽しめるガンダムなのだ。
Dolby Cinema®版『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』はなぜ話題?
『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』は、1995年から1996年にわたって放送されたTVアニメ『新機動戦記ガンダムW(ウィング)』の続編OVAを再編集した劇場公開版のことだ。
本作は、1997年に製作された全3話のOVA『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』を再編集し、新作カットを追加して1998年8月に全国の劇場で上映されており、当時アニメファンの間で大きな話題を集めた。
その名作が今回は、2025年9月5日から2週間限定でそのDolby Cinema®版が全国10館で公開されるとのことで、往年のWファンの間で話題となっている。ちなみに、この上映は『新機動戦記ガンダム W』30周年記念プロジェクトの一環で、劇場公開を記念した限定グッズの発売や、ヒイロ役の緑川光とリリーナ役矢島晶子の舞台挨拶も話題を呼んだ。

Dolby Cinema®版のすごいところは映像の美しさと音の臨場感!
1998年公開当時のオリジナルマスターネガを4K化、HDR仕様のカラーグレーディングを施した映像で構成されていて、音声・音響は立体音響技術を採用!
モビルスーツの起動音や戦闘シーンがリアルで没入感がすごいよ!
『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』のあらすじや見どころは?

『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』のあらすじは
A.C.(アフターコロニー)196年、かつての戦いから1年後のクリスマス。カトルとデュオは、平和が実現された世界でその役目を終えたガンダムを廃棄するため、張五飛のアルトロンガンダムを除く以外の4機を廃棄衛星に積み、太陽へ向けて射出する。
時を同じくして、先の戦争で戦場に散ったOZ総帥・前世界国家元首トレーズ・クシュリナーダの娘を名乗るマリーメイアが率いる軍が武装蜂起し、外務次官であるリリーナを拉致。さらに地球圏へ向けて宣戦を布告してしまう。ヒイロたちはマリーメイア軍による「真のオペレーション・メテオ」発動を阻止するため、再びガンダムで地球へ降り立つ。
声優キャストは前述した緑川光や矢島晶子、関俊彦、中原茂、折笠愛、石野竜三、子安武人といったTVシリーズから継続の声優陣に加え、マリーメイア・クシュリナーダ役に『らんま1/2』シャンプー役や『それいけ!アンパンマン』バタコ役、『おねがいマイメロディ』マイメロディ役で有名な佐久間レイを起用している。
ちなみに、作中マリーメイア・クシュリナーダが本当にトレーズ・クシュリナーダの娘だったのかは作中語られておらず、TVシリーズでトレーズ役を演じた声優の置鮎龍太郎は、「『ガンダムW』30周年記念 スペシャルステージ」の質問コーナーで、本作の公開当時、マリーメイアが登場したことが衝撃だったことや、「トレーズの娘って誰との子供なのさ〜‼️」と思ったことを告白した。
出演した声優陣ですら予測できないストーリーが展開される、これこそ『ガンダムW』の魅力なのだ。
まとめ
ここまで紹介してきた通り、ガンダムWは、ガンダム初心者にもとっつきやすく、初見でも楽しめる要素が詰まった作品だ。
Dolby Cinema®版『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』の上映期間は2週間と短いが、30周年アニバーサリーイヤーの今年は、「TVシリーズ第1話」と「Endless Waltz 特別篇」の絵コンテ、制作資料、声優陣の対談がパッケージングされた「『新機動戦記ガンダムW&Endless Waltz』 30周年オフィシャルブック-Operation 30th-」や各種グッズの発売。香港でのドローンショーや、ガンダムパイロット5人の声優陣が揃うディナーショーも実施するなど、まさにアニバーサリー企画が目白押しだ。これまで、『ガンダムW』に触れてこなかった人も、ぜひこの機会に、平成ガンダムを代表する本作に触れてみてほしい。
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